2011年 05月 10日
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ゴールデンウィークは旅行に行った。
当初仙台に帰る予定でいたのだけれど、親父たちが北陸に行きたいと望み富山で合流し金沢へ行く計画を立てた。
僕らは羽田空港から空路で向かう。上の娘は飛行機を見ると上機嫌で「へー、アレが飛ぶの?ほんとに?」とにこにこしていた。飛行機が加速し、飛んだ瞬間には目をきらきらと輝かせた。
震災以来、はじめて親父たちの顔を見ると娘たちもそうだけれど僕もなんだか安心した。空港でホタルイカの刺身を食べてから富山の町を歩いた。
ホテルの窓からは遠くにまだ雪を纏った峰が見えた。娘たちはおふくろに抱きつきながら「高いね−!曇ってるね−!」とおおはしゃぎしている。夜は近くの居酒屋で魚を食べ、その日は皆疲れてすぐに寝てしまい、気付くと朝だった。
起きて気がついたのは、こんなにぐっすりと眠れたのが久しぶりのように思えたことだ。余震の心配や毎日の生活での風向きや天気、それから原発に関するニュースの中で暮らす東京での毎日は、やはり緊張しているのだと思った。仙台の親父たちと合流し、たった一晩ぐっすりと寝ただけで、気力はずいぶん戻ったように思えた。
朝食を食べると、金沢へ向かい、21世紀美術館を見てから兼六園を歩いた。まるで盆栽の中を歩いているような兼六園の風景は今の自分にとってとても刺激的なものだった。枝や葉、それから苔など細部に人の手が行き渡っているのを感じた。
次の日に大学での講義がある僕だけ、小松空港から一人で東京に帰った。娘たちは全く悲しそうな素振りひとつせず、機嫌良さそうに親父にひっついていて、プリキュアの本やらひらがなの練習本やらを抱えて歩いていた。下の娘もいつのまにかなんのキャラクターなんだか分からない茶色のぬいぐるみを大事そうに抱えている。僕はゲートの前でビールを一杯飲んで、あっという間に羽田に帰った。
それから二日ほどして親父の車で皆が帰ってきて、ゴールデンウィーク中はそのまま東京で過ごした。帰り際には、さすがに娘たちは寂しそうに見送っていた。
by ryoohwada
| 2011-05-10 14:59