Keep your focus

9/30

大学の講義も本格的にはじまり、また日常的な毎日が戻ってきたように思う。それにしても今月は様々なイベントや仕事で随分慌ただしい毎日を送った。

頼まれていた大判作品も無事セレクトが終わり、次は個展に向けて動き出す。
12/1から広尾のエモンフォトギャラリーにて個展「Wine collection」を行う予定。それに向けてまだ何度かの撮影が残っている。それと同時に来年の個展に向けた作品作りも。

10月は初の関西でのトークショーを神戸のTANTOTEMPOで行う予定。お近くの方は是非。
トークショー詳細

ーー
娘達は涼しくなったのが嬉しいみたいだ。長靴を履いて雨を楽しむことができるのも機嫌が良い理由かもしれない。ただ、半袖のスタイルはまだ続けたいらしく「サムイねぇ」と言いながら長袖を着ることは拒む。窓から雨を眺めながら、撮影でもらったおみやげの「はらドーナツ」を美味しそうに食べていた。

9/21

現在発売中の雑誌「日本カメラ」では口絵を掲載。作品とインタビューをご覧頂けます。

他の記事を読んでいると、中判デジタルカメラの値段はずいぶんと下がったみたいで、何百万も投資した数年前を思い出すと時代の移り変わりの早さを感じる。ただ画質の面でいうと、僕が試しているものに関しては数年前も今も変わらない。そう考えると、ただ単に同じもの（名前は変わっているけれど）の値段が下がっているだけなので納得できるところもある。一眼レフ並の画像エンジンが機能するまでには中判はもう少し時間が掛かるかもしれない。

最近外に出てばかりだった分、今日は一日原稿。

ー
保育園で「ホップステップジャンプくんのうた」という歌詞が貼られていて、帰りに上の娘に歌ってもらったのだけれど全く分からなかった。ある程度のコード進行がついているラップを聴いているみたいだった。シド・ビシャスの「My way」を思い出した。

9/15

9/17より9/19まで六本木アカデミーヒルズで開催されるTOKYO PHOTO 2010ではリブロアルテのブースにて作品展示を行っております。

TOKYO PHOTO 2010

9/13

夏休み明け、大学へ。
学生たちは、少し変化したような気がする。なにが変わったのかは分からないけれど、少しだけなにかに向かう気構えができたような、そんな感じなんだろうか。写真を撮り始める学生も多くなるだろう。僕はといえば、その頃を思い返すとゲームとビリヤードと、レコード集めばかりしていた。毎日のように通っていたディスクユニオンはもう厚木には無い。

学生から「写真の本を読みたいんですが、なにを読めば良いですか？」と。写真の本、という曖昧な言葉に戸惑いながら、結局「新宿あたりの大きな本屋に行って、まずは自分が読みたいと思った本を読むと良い。それからなにを読んだのか教えて欲しい。僕もそれを読んでみて、なにが良いか考えてみるから」と伝えることにした。

それから、「スナップを撮るのに、街の人を勝手に撮っても大丈夫ですか？」と聞かれ、自分の身近にいる写真家たちがどうしているかを伝える。研究室に戻ってから、そういえば、と本棚の写真芸術学会の学会誌を引き出した。前に著作権や肖像権、それに関するアメリカにおける裁判でのそれぞれの主張や結果が掲載されたものがあったことを思い出したからだった。それを探しだしてもう一度読み直した。

家に帰り、娘たちと遊ぶ。上の娘はひらがなを読むのに夢中で、本を出しては漢字を飛ばしながらひらがなを読み上げる。時折、大好きな動物園の本を開きながらそこで読めないひらがなを参照する。例えば「ら」が読めなかったら、らいおんの絵を探して「これはらいおんの"ら"！」という風に。形の理解ができるということなんだと思う。

今日は、31歳の最後の夜だ。

9/10

涼しくなってきて、夜ジョギングに出た。近くの林試の森は歩道が入り組んでいて走るのには飽きないのが良い。

走っているときに良く思い出すのが高校の時の強歩大会。競歩ではなく、ひたすら歩くというイベントだった。高校からかすかに見える泉ヶ岳という山までの道のりを全学年の生徒が歩く。大体皆、何人かのグループで歩いて行くのだけれど、早く帰りたい僕は長距離走者たちのグループに混ざって走って向かっていた。サッカーをやっていたとはいえ、途中でいつも着いていけなくなり、暫くたつ頃には一人で走ることになる。

その頃パンクバンドでドラムをやっていた僕は、走るのが辛くなると頭の中で8ビートを早めたり遅くしたりすることであまり辛い思いをせずに長距離を走ることができた。

そんなことを思い出して、この前もそれを実践してみたのだけれどうまくはいかなかった。体力を高める必要があるのか、ドラムを叩く必要があるのかということを考えながらマイク・ヴァン・ダイク（懐かしい！）を聞きながら走った。

9/9

最近ブログの更新を怠っているのはどうしてだろうかと自分なりに考える。
いろんな理由を並べ立てても結局のところさぼっていただけという結論に。

最近の娘たちはといえば、相も変わらず僕の考え方でいえば「怪獣」という表現でしか成り立たない。たまにふと理性的な行動をすることがあるのだけれど、悟性（要は理解する能力）に関してはまだなんとも。

今日はフォトグラファーズサミットの反省会の前に渋谷のBunkamuraに出来たジュンク堂+丸善をのぞきにいった。知り合いに随分会い、僕の回りはまだまだ紙の書物に興味がある人ばかりなのだと思えた。少しの立ち話の後も美術・芸術のコーナーに立ち止まって皆本を選定しているわけで、なんだかそうなると妙な気恥ずかしさが出てくる。手に取る本を見られてるような変な意識が芽生えて、目に付いた『アラマタ美術史』を手に取ろうとしながらロン・ミュエクの作品集を開いたりなど自分でも意味の分からない行動を取る。頭の片隅では「俺は今悪趣味の系譜を見たいだけなんだ」と思いながら「そりゃあちょっと回ってからでもいいんじゃないの？」という意見が頭のなかで巡る。

いろいろ考えていたら馬鹿らしくなってきて、サンデーとファミ通を捲って後にした。
本屋では一人の時間に没頭できる環境の方が良い。また行こうと思う。

9/2

展示のお知らせをいくつか。

ーー
Log.
キヤノンギャラリー仙台
詳細
ーー

ーー
画廊くにまつ
開廊記念　八人展
詳細
ーー

ーー
Log plus
「ノーツ オン フォトグラフィー出版記念」
BOOK 246
詳細
ーー

それぞれ違う作品を展示しています。
仙台では銀座からはじまった個展の巡回を。
くにまつでは、金箔を背にした林檎のモチーフを連作で。
BOOK 246ではLogの系統を引きながらまた別のセレクト、見せ方を行っています。

特に画廊くにまつとBOOK246はどちらも地下鉄青山一丁目駅から歩いて近い場所に御座いますので近くにいらした際には是非。

9/1

月曜、フォトグラファーズサミットに。
今回は二回ほど壇上で話をした。「アート」というテーマでの開催は、予想通りというか様々な点で考えさせられるものだったと思う。それはアートというものがなんなのかという話が不可欠になるという部分。同時に写真についての考え方やそれぞれの作家論に注目しなければいけないものでもある。写真には確かに芸術や美術といえる部分があると思う。しかしその「芸術や美術といえる部分がある」という意味においてフォトグラファーも、その周辺の立場のメーカーやクリエイターもいまだ明確な（自分なりの）意志を持って対峙しているようには思えない。だからこそ、そこに関心を持っているのだという解釈もできるかもしれないけれど、その関心は「アートとはなにか」というものとも少し違うように僕には感じられた。
もちろん、アートに対して真摯に取り組んでいてそこに様々な考えを寄せている人たちもいる。それも考えるとある意味での温度差（という言い方が正しいかどうかわからないけれど）を感じるものがあったのは確かだった。
”アート”と、”アートとはなにか”という二点に関する話は本来とても密接なものだと思うけれど、その剥離を感じたような気もする。
参加プレゼン者の作品それぞれには感じるものがあったし、もちろん作品のレベルとしても非常に高いものがあった。上で挙げたような感想を僕が持った具体的な点を説明せよと言われるともう少しまとめる時間が必要になるけれど、一つだけ足りなかった点を今挙げられるとすれば、少し冷静にアートというものを考える時間があれば違った展開になったのかもしれないということだ。
今回、僕は西武での展示の報告リポートとリコーアワードの審議についてのリポートをしたけれど、それに繋げた上で「それではアートというのは今一体どのように捉えられているのか」という議論を少しでも挟むべきだったように思う。誰かが（それは今回でいうところの例えば僕が）一方的に語るそれはやはり一つの観点から見ているところが多く、そこにはやはり様々な意見があってこそ成り立つべきものなのではないかと思える。要はそこには議論があるべきだと思うのだ。
フォトグラファーズサミットというイベントを見れば、あれほど人を集め、盛り上がっている場はないと思う。だからこそ、あの場で発信されるものによって変化が起きる可能性も高い。僕自身、自省の念を持ってもう一度その在り方を考えてみたいと思う。きっとそれがサミット自体の今後の発展にも繋がることだと信じている。

ーー

火曜、渋谷の日本写真芸術専門学校で講演を。
二時間強の長い話をしたけれど、僕が伝えたいことは一つ。
もっと写真を好きになること。それは、好きになればなるほど、写真に中途半端ではいられなくなるから。そこから何か始まる人は、きっと多いと思う。